【舞台用コンセント】その他のコネクタいろいろ

0

別で解説記事を設けている、C型T型平行以外のコネクタについて、概要を解説します。世界各国のコネクタを挙げればキリがないため、舞台照明機材に関連するもののみを取り上げます。

定格 15A未満のコネクタ

15Aより小さい領域は、主に電灯専用か、機器に付属しているようなコネクタです。

  • E26ソケット
    電球のソケットも、コンセントの一種と言えます。電気が普及し始めた黎明期は、一般家庭の電気用途はほとんど照明 (電灯) しか無かったため、コンセントが無くて電灯ソケットのみという家庭も多くありました。このため、アイロンやラジオ等の電化製品にも初期はE26口金が付いており、電灯ソケットに接続して使っていたようです。
    この辺りの経緯が、松下電気器具製作所(現・Panasonic)の成立に深く関係しています。

  • ダクトレール

    カフェやギャラリーに多く設置されているレール状のコンセントです。レールに灯体を吊る器具に電極が付いていて、吊るのと同時に電源も取れるようになっています。正式名称は「ライティングダクト」ですが、「ダクトレール」「ショップライン」「ライティングレール」「配線ダクト」など様々な名前で呼ばれます。
    もちろん、平行に変換するアダプターもあります。

  • 引掛シーリング
    一般家庭の天井に、蛍光灯器具などを取り付ける目的で設置されています。ダクトレールと用途は似ていますが、こちらはレール状ではなく1つの器具だけを取り付ける目的です。平行コンセント、ダクトレールと相互に変換するアダプターが販売されています。

定格 15A~20Aのコネクタ

この辺りから、C型・T型・平行と重なる領域に入ってきます。

  • 引掛型2P
    「ツイスト」とも呼ばれます。15A~30Aまで各種あり、20Aでは Panasonic / WF6220 が代表型番です。一見、平行の抜け止めによく似ていますが、全く互換性の無い別種のコンセントです。
    舞台照明では、T型と同時期にサスパッチ盤に使われたほか、アッパーホリゾントライト等の特殊なバトン用途にも使われました。

    ▲サスパッチ盤に使われているツイスト20A

  • 引掛形接地2P
    「ツイスト3P」とも呼ばれます。舞台照明以外では、125V15AのタイプがOA機器・サーバーラック等の半固定配線に使われているようです。舞台照明の分野では、20Aタイプがごく一部のサスバトンに使われているようですが、非常に珍しいと思います。
    また、一つ上のアースの無いツイストとは互換性がありません。

  • NEMA 5-20 / IL型
    NEMA 5-20はアメリカの規格で、平行と同じ系統のコネクタです。コンセントは [ ┃┣ ] の形をしており、15Aの平行プラグをそのまま刺すことができます。一方で20A専用のプラグは [ ┃ ━ ] の形をしており、15Aのコンセントには刺さらないようになっています。このようにして、「15A・20Aの兼用」を実現しています。

    これの日本バージョンとして、俗に「IL (アイエル) 型」と呼ばれるコネクタがあります。コンセント側は [ ┃┣ ] で同じですが、プラグが [ ┃┗ ] と片方L字に曲がっているのが特徴です。100Vのエアコン用途でよく使われています。

  • IEC C13 / C14
    IECという国際規格にあるコネクタです。デスクトップPCの電源としてよく見かけます。舞台照明では、安価なLEDPARや調光卓などによく使われています。
    ♂側をC14、♀側をC13と呼びます。既製品のコードに付いているイメージが強いですが、コネクタ単体で買ってケーブルを自作することも可能です。
    IEC_C13_C14

  • XLR 2pin / 3pin
    「キャノン」とも呼ばれるXLRコネクタですが、定格電圧・電流が比較的高かったことから電源用としても使われることがありました。特に電源用として、赤く塗られていてピン配置が音響用と異なるものも使われたようです。
    誤用の危険性が高いことから、後述するPowerCON等に移行することをお勧めします。
    Avolites_XLR電源
    ▲XLRを電源として使用している調光卓

  • D型20A
    C型20Aと同じタイミングで、200V専用のコネクタとして新規設計されました。その経緯はC型T型の記事をご覧ください。舞台照明専用のコネクタであり、単相200Vで動作するムービングライト等の接続用として使われます。

  • PowerCON 20A
    ノイトリック社が作った新しい機器用コネクタです。XLRコネクタと同じサイズのコンセントをラインナップしており、音響ラックへの電源供給に便利に使えます。前述したIEC C13の代わりに、American DJ等の安価な照明機材にも採用が進んでします。

    コネクタ自体は♂とも♀とも言えない形状をしていますが、青色は「機器への電源供給用」、白色は「機器からの電源取得用」という珍しい区分になっています。「延長コード」という概念は無く、常にレセプタクル (固定されたコネクタ) とプラグの組み合わせでのみ使われます。
    また、活線挿抜 (電気が流れている状態でコネクタを抜くこと) は禁止されており、スイッチと組み合わせて運用する前提です。

  • PowerCON True1
    上の “青白パワコン” の課題であった活線挿抜を可能にした、さらに新しいモデルです。こちらはコネクタボディも存在し、延長コードを作ることができます。個人的には、舞台照明で今から強電パッチ盤を作る場合、これを採用すればスマートで良いのではないかと思います。

定格 30A以上のコネクタ

  • A型30A / 60A / 50A(旧) / 75A(旧)
    C型30A、C型60Aの前身にあたるコネクタです。詳しくはC型コンセントの歴史の記事をご覧ください

  • D型30A(旧)
    現在のD型20Aとは関係の無い系統で、初期のA型を厚さ方向に半分にスライスしたような形状をしているようです。舞台照明では見ることはなく、映画照明系の文脈のコネクタと思われます。元をたどるとA型と同じくKliegl社のコネクタと思われ、厚み方向に薄くしたプラグを1つのコンセントに2本刺すための “Half-plug” というコネクタが実在したようです。

  • 大平行
    平行コネクタをそのまま大きくしたようなコネクタで、特に名前はないですが個人的に「大平行」と呼んでいます。Panasonic / WF5230 などが代表型番です。2極30Aということで、A型と完全に規格が被っています。よって劇場等ではまず見ないコネクタですが、ライブハウス、学校設備に付随する舞台などで大容量電源として見ることがあります。
    hei_T_largehei
    ▲平行、T型、大平行

  • FM型30A
    新国立劇場などいくつかの大劇場の資料に見えるコネクタですが、どのようなコネクタなのか情報がほとんどありません。
    以下のTwitter情報からすると、アメリカで使われる「Stage Pin」コネクタに近いものと思われます。

  • NEMA L14-30
    別で記事を書いていますが、ほぼ唯一公式に単相3線に使えるNEMA系コネクタです。

  • C型100A
    C型という名前ではありますが、定格250V、4極のコネクタで、60AまでのC型とは全く毛色の異なるコネクタです。どこに使われているのか私は知りません。どなたか教えてください。
    C100_matsumura

  • AD型100A / D型100A(旧)
    それぞれ、C型、A型をそのまま大きくした100Aコネクタです。系統としてはこちらが「C型100A」を名乗るべきですが、なぜか100Aだけ名前が違います。東芝ライテックのWebサイトの下の方に載っていますが、東芝以外は作っていない様子です。もしかすると、上述のD型30Aと同じく、映画系でのみ使う系統なのかもしれません。

その他特殊なコネクタ

  • CEE Form (シーフォーム)
    ヨーロッパで使われている、IEC 60309準拠のコネクタです。定格電圧によってコネクタの色が異なり、異なる色のコネクタは相互接続できない構造になっています。日本ではオーディオブレインズという会社が、オーストリアのPCE社のコネクタを販売しています。三相4線アース付き用の5極コネクタをラインナップしているのが特徴です。

  • Cam-lok (カムロック)
    アメリカEaton社の大容量単極コネクタです。主に電源を総仮設するようなイベントにおいて、単相3線や三相4線の主幹用ケーブルに使われます。
    電流容量別に、150A・400A・690Aの3種類のコネクタがありますが、それぞれ互換性はありません。

    ▲中規模の調光ユニットに400Aタイプが使用されている例。単相3線+アースで4本のカムロックが接続されている

  • Socapex (ソカペックス)
    元々は軍用・宇宙用などの強靭なコネクタを作っていたSocapex社のコネクタの一つですが、舞台照明の文脈ではもっぱら19ピンのコネクタを指します。「2極アース付き」を6回路分 (=18極) まとめて延長する、いわゆる電源マルチケーブルのコネクタとして使われます。
    ただしマルチは通常いわゆる「先バラ」、つまり多芯ケーブルの末端に直接コネクタを6個ずつ付けるような作り方が主流です。わざわざマルチ専用コネクタを一旦挟む方式を取るのは、製作費用よりも総合的な仕込み効率や安全性を重視した、ある意味贅沢な選択肢ではあります。

コメント 0

コメントはありません

コメントをどうぞ