ソースフォー (Source Four) って何だ

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舞台照明において世界的に有名な灯体のひとつ、「ソースフォー」についての解説です。

S4_clip_from_etc
画像出典:[1]

光学系による分類上は、「灯体 > レンズによる集光 > プロファイルスポット > エリスポ(カッターライト) > ソースフォー」となります。
灯体の分類ではなく、特定のメーカーから発売されている商品名であることに注意してください。

ETC社が製造・販売する世界一有名な灯体

「ソースフォー」は、灯体の種類を示す用語ではなく、アメリカのETCという会社が製造、販売するプロファイルスポットライトの商品名にすぎません。
ただし、あまりにも世界的に有名であるため、プロファイルスポットライト(特にエリスポ)の代名詞となっています。よって、エリスポ全般を指して「ソースフォー」と呼んでも、もはや間違いではありません。

国内照明メーカーもカタログにソースフォーを載せていますが、それらも全てETC製のものになります。
また、省略して「S4」と表記されることがあります。

エリスポとしての基本性能

ソースフォーは、プロファイルスポットライト(特にエリスポ)としての基本的な機能を持っています。

  • ゴボ (ネタ) を使用して、任意の模様を投映することができる。
    (Aサイズ、Bサイズと呼ばれる大きさのゴボが対応しています)

  • カッター (羽根) が内蔵されており、四角形の照射範囲を作ることができる。

  • 像のピントをクッキリにしたり、ピンボケにしたりできる。
    (色収差により、ジャストピントからレンズを電球に近づけると輪郭が赤っぽくなり、遠ざけると青っぽくなる。このことから、それぞれ「赤ボケ」「青ボケ」と呼ばれる。)

 

また、ソースフォーの特徴として、ゴボやカッターを使って得られた像を回転させることができます。
つまり、「□」の照射範囲を回転させて「◇」にすることが可能です。
これは兄弟機のソースフォージュニアには無い機能です(他社製エリスポでも、できるものとできないものがあります)。

機能としては非常にベーシックなエリスポ(カッタースポット)ですが、ソースフォーが発売される1992年以前は、Altman 360Q丸茂ECQ といった重くて暗いエリスポが多かったため、基本性能を高水準でまとめ、比較的軽量、さらにメンテナンス性も良いソースフォーの登場は、革新的であったとされています。
また、放熱性にも優れており、それまでは熱で変形してしまうことの多かった「アルミ缶を彫って作った自作ゴボ」を実用にできるという点でも評価されたようです。

レンズは交換式

プロファイルスポットライトはその性質上、レンズの設計時に照射角度 (光の広がり、照射範囲) が決まってしまいます。
ピントを赤ボケ、青ボケにすることで若干照射範囲を広げることは可能ですが、基本的には、平凸フレネルのように照射範囲を任意に変えることはできません。

ソースフォーはレンズが交換式になっており、レンズチューブだけを購入することで、1台の灯体をいろいろな照射範囲で使用することができます。
標準レンズは「19°」「26°」「36°」「50°」の4種類です。
仕込み図面や機材リストなどでは、「ソースフォー19°」を略して「S419」と表記することがあります。

それぞれの度数に対するおおむねの照射範囲は、以下の通り計算によって導出できます。
S4_field_degree
↑文献:[2]


基本的にはできないとされる照射範囲の可変を、できるようにしたモデルもあります。
「ソースフォーズーム」という商品名で、「15°~30°」「25°~50°」の2種類があります。

こちらは光学系が複雑なため、重量も重く、レンズチューブ単体では通常レンズと互換性がありません。
また、広めの度数のレンズを使って、アイリスシャッターで範囲を絞るという方法もあります。照度が稼げない、ゴボの範囲が制限されるなどの欠点がありますが。

パーツの交換性、オプションの豊富さ

また、ソースフォーはパーツの交換性が高く、オプションパーツが多いことでも有名です。
S4_parts
↑文献:[3]

上の図のように、構成部品はかなりの程度までバラバラにでき、紛失してもパーツ単体で購入できるなど、メンテナンス面でメリットがあると言われています。


また、オプションパーツの豊富さは群を抜いており、カタログに載っているものだけでも相当多いですし、他にも

など、特殊なオプションを活用していろいろな目的に使うことが可能です。




ソースフォーの兄弟機

ETCは、ソースフォーで培った技術をベースに色々な兄弟機を出しています。以下はその一例です。

  • ソースフォージュニア (Source Four Jr.) …小型のソースフォー。電球が575Wまで/レンズ交換ができない/ゴボが専用サイズ(Mサイズ)/像の回転ができない…などいくつか制約があります。
  • ソースフォーミニ (Source Four Mini) …もっと小型の、手のひらサイズのソースフォー。劇場よりは美術館の展示照明向きの、応用光学FPCの競合になるクラス。ハロゲン75Wタイプと、白色LEDタイプがある。
  • ソースフォーLED (Source Four LED) …LEDのソースフォー。レンズは従来のソースフォーと互換性がある。白色単色タイプから7色タイプまで色々あり、演劇的需要を意識した高演色性と繊細なフェードが特徴。言われなければLEDだと気付かないレベルだが、値段はとても高い。
  • カラーソーススポット (ColorSource Spot) …ソースフォーLEDの廉価版。ETC独自の R,G,B,Lime の4色構成。ソースフォーLEDの半額程度だが、やっぱり高い。
  • ソースフォーPARソースフォーフレネル …ソースフォーと名前がついているが、プロファイルスポットではない。電球だけソースフォーと共通だが、基本は全く別の灯体。

 

LED光源のモデルは、従来は使用できなかったフィルムでできたゴボを使用できるので、今後の広がりに期待です。


ちなみに、あまりにも有名な灯体なので、ETCとはまったく関係ないメーカーからコピー品やレンズ互換の光源ユニットなどが売られています。
これらの評価はピンキリですが、詳しい話はまた別の機会にしましょう。


 

【参考文献】

[1]https://www.etcconnect.com/Products/Lighting-Fixtures/Source-Four/Source-Four/Features.aspx
[2]http://www.kenpro-inc.com/_userdata/sourcefour_jp.pdf
[3]http://www.kenpro-inc.com/_userdata/pl_s4_2014.pdf

※[2][3]の出典元である剣プロダクションは、ETC社の日本総代理店。

コメント 5

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むらっきー  
たまにはLekoのことも思い出してあげてください(^^)

照明さん的にはここまで詳しく書いてあれば完璧かと思いますが、歴史的なところについてはもうちょっと詳しく掘り下げておいた方がいいかもという気がします。
アメリカではLekoと呼ばれていて、ソースフォーですら、Lekoの進化系ということでSourceFourLekoなんて呼ばれています。
また、国内ではITOという名作もあったので、どうして置き換わってきたかという説明とかあると嬉しいかもです。
ここらへんもご参考に。
https://en.wikipedia.org/wiki/Lekolite

2018/09/17 (Mon) 04:47 | EDIT | REPLY |   
電気マグロ
電気マグロ  

>むらっきー様

そうですね、歴史的なところは別途、ソースフォー単体ではなくエリスポについて包括的に扱う記事に入れようかなと思ってます。

2018/09/17 (Mon) 18:22 | EDIT | REPLY |   
kaz  
ソースフォーPAR

ソースフォーって名称は元々光源から来てるので、ソースフォーPARってのは自然な命名なんです。ソースフォーがLekoの代名詞となった今では違和感があるとは思いますが。
http://www.ushiolighting.co.jp/Product/searchgroup/name:HPL/type:/

2018/12/09 (Sun) 01:28 | EDIT | REPLY |   
けいけい  
勉強になります

すごく分かりやすくて改めて勉強になりました!ありがとうございます。
わがまま言わせて頂けるなら、ソースフォーの光軸の合わせ方も教えていただければ嬉しいです!

2019/08/16 (Fri) 00:52 | EDIT | REPLY |   
電気マグロ
電気マグロ  
Re: 勉強になります

けいけい様

こんにちは。ご覧いただきありがとうございます。

光軸調整は、すでに製造元のETCが良い動画を上げているので、こちらをご覧ください。
https://youtu.be/Yf5sNgWUdpc

2019/09/08 (Sun) 23:44 | EDIT | 電気マグロさん">REPLY |   

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